安里屋ユンタ

CINEMA dub MONKS

GENRE OTHER

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BOOMER

MPJ / レコードコレクター / DJ

心象風景

2020年は沖縄音楽にのめり込んだ1年だった。新旧問わず、沢山のアーティストの様々なアレンジをひたすら聴き続けた。実際に沖縄へ行ったことは一度しかない。しかし、琉球音階で奏でられたメロディを聴くと懐かしい気持ちになるのは何故だろう。

安里屋ユンタは愛らしい合いの手のある沖縄の伝統民謡で、ロック・ジャズなどジャンルの壁を超えて今に歌い継がれている。明るく、どこか温もりを感じさせてくれる。しかし、CINEMA dub MONKSは他とは違う印象を感じさせてくれる。鍵盤ハーモニカが奏でるその音色は優しくて、切ない。真っ赤に染まった夕焼けの空。右肩に背負ったランドセル。友達とふざけながら歩いた下り坂。金木犀のほのかな香り。肌寒かった11月の風。カバン以外に背負う物などなく、ただひたすらに無邪気だったあの頃。キュウッと胸が締め付けられ、思わず泣きそうになる。余韻を残した曲の終末。ゆっくりと現実に戻る。懐かしい心象風景を辿る小さな旅は、確かな温もりを残して終わりを迎える。音楽は、良い。改めてそう思わせてくれる1曲だ。

(iTunesよりダウンロード可)

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